日本ポップス・レコード史 / アメリカン・ポップス・カバー時代(4)
前回に引き続き「パラキン」のヒット・カバー・シングルからのピック・アップである。 先ず1963年(昭和38年)夏に発売されたシングル「ミスター・ベースマン」「悲しき雨音」のカップリング盤である(写真1 シングル盤ジャケト、東芝 JP-5245 / 写真2 同・レコード・レーベル面)。 当時毎日何回も針を下した1枚でもある。 前者はヴォーカルの佐野 修と九重佑三子の掛け合いが絶妙、後者は佐野 修がソロを歌う。 オリジナルは「ミスター・ベースマン(MR. BASS MAN)」が当時ティーン・エージャーのジョニー・シンバル(Johnny Cymbal)、「悲しき雨音(RHYTHM OF THE RAIN)はコーラス・グループ「カスケーズ(THE CASCADES)」の大ヒット曲だった(写真3 ジョニー・シンバル「MR. BASS MAN」、国内盤シングル・ジャケット、KAPP RECORDS KP-70東芝/写真4 同・レコード・レーベル面 / 写真5 ザ・カスケーズ「RHYTHM OF THE RAIN」、国内盤シングル・ジャケット、WARNER BROS. RECORDS BR-1893 東芝/ 写真6 同・レコード・レーベル面)。
続いて翌1964年(昭和39年)リリースと記憶する「ワシントン広場の夜は更けて」とオリジナルは「コニー・フランシス」が歌った「ロリーポップ・リップス」がカップリングされた1枚である(写真7 シングル盤ジャケット、東芝TR-1016/ 写真8 同・レコード・レーベル面)。A面の「ワシントン広場(WASHINGTON SQUARE)」はアメリカのデキシーランド・ジャズ・バンド「ザ・ヴィレッジ・ストンパーズ(THE VILLAGE STOMPERS)」のオリジナル・ヒット曲だった(写真9 ストンパーズ 盤「WASHINGTON SQUARE」、国内盤(EPIC)シングル・ジャケット LL-6010 日本コロムビア/写真10 同盤レーベル面)。 余談になるがB面の日本語タイトル「ウィーンの夜はふけて」の原題は「TURKISH DELIGHT」、つまり直訳すれば「トルコの歓喜」となりレコードを聴くまで当時の筆者にはこのタイトルの意味がよくわからなかった。聴いてみると原曲はモーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331」の第3楽章「トルコ行進曲」、この部分を巧みにジャズ風にアレンジしている。 「パラキン盤」の「ワシントン広場」はコーラスのハーモニーが美しい。 B面の「ロリーポップ・リップス」のヴォーカルは九重佑三子である。
(つづく)