日本ポップス・レコード史/ アメリカン・ポップス・カバー時代(3)
今回は「パラキン」の愛称で’60年代の日本のポップス・ファンに親しまれたポップス・バンド・グループ「ダニー飯田とパラダイス・キング」のヒット・カバー・シングル盤からいくつかセレクトしてみたい。 このグループの結成は古く1955年(昭和30年)まで遡る。 当時は「ハワイアン・バンド」として知られ名称も「ダニー飯田とパラダイス・ハーモニー」と呼ばれていたようだ。 1958年に「坂本九」も加わり「日劇ウェスタン・カーニバル」にも出演、人気も高まり「ロック&ポップス・バンド」として活動しこの頃にバンド名も「パラダイス・キング」に変わる。 筆者が最初に購入した「パラキン」単独シングル・カバー盤は1961年発売の「パラキンのスクスク」と「アパッチ」だったと思う(写真1 「パラキンのスクスク」・「アパッチ」シングル・ジャケット、東芝JP-5072 / 写真2 「パラキンのスクスク」レーベル面)。 この「スクスク」とは当時流行していた「ドドンパ」などのリズムの一種でジャズ・ミュージシャン「スマイリー小原」が大人気のテレビ番組「ザ・ヒットパレード」で紹介していたことを懐かしく思い起す。 この「パラキン盤」のほか「ザ・ピーナッツ盤」なども大ヒットした。 このオリジナル盤を後に調べたところデンマークの夫婦デュオ「ニーナとフレデリック」(NINA & FREDERIK)盤とのことだった。 またB面の「アパッチ(Apache)」もデンマーク出身のジャズ・ギタリスト「ヨルゲン・イングマン(Jorgen Ingmann)」の演奏がオリジナルとされている。 ちなみに「パラキン盤」では「増田多夢」がソロを歌う。
続く2枚目はメンバーの「石川 進」が独立、代わりにヴォーカルに「九重佑三子」が加入1963年にリリースされ爆発的にヒットした「シェリー(SHERRY)」である(写真3 シングル・ジャケット、東芝JP-5178 / 写真4 同・レーベル面)。 オリジナルはアメリカのポップス・グループ「ザ・フォー・シーズンズ(THE FOUR SEASONS)」が歌いこちらはアメリカ「ビルボード誌」1962年5週連続第1位に輝いている(写真5 ザ・フォー・シ―ンズンズ「シェリー」国内盤シングル、VEE JAYレコードJET-1170 / 写真6 同レコード・レーベル面)。 また「パラキン盤」B面に収録された「ブルージンのヴィーナス」は「佐野修」のマイルドな歌声が魅力である。 オリジナルはアメリカの「ティーン・アイドル」として人気が高かったジミー・クラントン(Jimmy Clanton)の代表曲であった。
(つづく)