歴史的名盤ストラヴィンスキ―「兵士の物語」
今回はストラヴィンスキ―が第一次世界大戦末期の1918年、新古典主義にさしかかる移行期に作曲した「兵士の物語」のステレオ録音による歴史的名盤から二つ取り上げてみたい。 この作品は演奏時間およそ1時間弱、ロシアの民話を題材にした「語り」「演劇」「舞踊」を融合した舞台音楽である。 フランス語台本はスイスの作家シャルル=フェルディナン・ラミュ(Charles-Ferdinand Ramus) (日本ではラミュズの表記もあり)が担当した。 楽器編成も小規模な室内楽編成である。 今回紹介したい録音はいずれも誉れが高いイゴーリ・マルケヴィッチ盤(1962年録音)とレオポルド・ストコフスキー盤(1967年頃録音)である。 前者は語り手にフランスの詩人ジャン・コクト― (Jean Cocteau)、「悪魔」役に名優ピ―タ―・ユスティノフ(Peter Ustinov)が共演し大変話題となった。 また台本には語り手コクトーのアレンジも加えられている。 紹介するCDは2005年に国内盤フィリップス廉価盤シーリズでリリースされた (写真1 CDジャケット/写真2 CD演奏・録音データ)。 次に後者ストコフスキー盤は1967年頃の米ヴァンガード録音、国内盤LPで当時ヴァンガード・レコードがドルビー・ノイズ・リダクション・システムを初めて使用した録音としても注目された。 語り手にフランスの作曲家ダリウス・ミヨーの夫人マドレーヌ・ミヨー(Madeleine Milhaud)、「悪魔」役にフランス往年のバリトン歌手マルシャル・サンゲー(Martial Singher)そして「兵士」役にはフランス往年の名優ジャン=ピエール・オーモン(Jean- Pierre Aumont)があたっている。 ちなみにこのLPは1977年に「ストコフスキー名盤1300シリーズ」廉価盤としてリリースされた1枚である (写真3 LPジャケット、キングGT 9160 /写真4 LPレーベル面)。