鉄道キップ(硬券)の魅力

また昔の話になってしまうが1970年代は鉄道マニアの間で乗車券類、とりわけ厚紙のキップいわゆる「硬券」収集が広まったことがある。 時代と共にコンピューターの普及で徐々に「硬券」はその姿を消し昨今ではほとんど見られなくなった。 硬券も過去の遺物になってしまったようだ。 しかし収集マニアにとっては硬券1枚1枚にはそれぞれの時代の顔があり眺めているとその時代が自然に自分の心の中に浮かんでくるとのことだ。 今回は筆者が1970年代から80年代にかけて実際に乗車したヨーロッパの国々の硬券を中心にいくつか紹介したいと思う。
先ず(写真1)のお隣韓国国鉄の「特急券・乗車券」をご覧頂きたい。 これはソウル→プサン間の特急券と乗車券が1枚となった硬券である。 この1972年12月発行の特急券には縦3本の赤線が入っており日本の1960年代当時の国鉄の特急券にも同様に縦3本の赤線が入っていた(写真2  1962年12月発行大阪→東京「第1つばめ」特急券)。 このように日本と韓国の特急券には共通したところがあった。
次は舞台をヨーロッパに移し筆者の印象に残る硬券を見ていきたい。
先ずはイタリア国鉄、
写真3は「フィレンツェ→ピサ」の1973年発行の2等乗車券である。 無地の硬券に発着駅が刻印されたシンプルなものである。
写真4の1973年発行ベルギ国鉄の「ブリュッセル→アントワープ」2等乗車券ではさらに赤色で「ベルギー国鉄」のロゴマークが刻印されている。
写真5はスイス国鉄発行の「チューリッヒ⇔クローテン」2等往復乗車券である(1976年)。
続いて写真6は縦に太い赤線が入ったスイス「ピラトゥス鉄道」のクリエンス⇔ピラトゥス・クルム往復ゴンドラ・リフト、ロープウェイのチケット(1976年)である。
写真7はまたガラリとスタイルが異なる「ブリティッシュ・レイル」(1997年まではイギリス国鉄)の「ロンドン(パディントン駅)⇔ウィンザー・セントラル駅」のデイ・リータン用の往復乗車券(1979年)。
写真8はロンドン(ウォータールー駅)⇔ボーンマスの週末往復割引チケット(1979年)である。 また「フランス・シャモニー⇔エギュ・デュ・ミディ」往復ロープウェイ・チケット(写真9)は結構分厚い厚紙を使用した硬券である(1979年)。
写真10はイタリア国鉄、「ミラノ中央駅⇔ルガノ」往復1等乗車券(1980年)。
写真11はスイス国鉄、「ローザンヌ→バーゼル」2日間有効の割引1等乗車券である(1982年)。
写真12はオーストリア国鉄の「ザルツブルク中央駅→ウィーン西駅」2等乗車券(1982年)の刻印方式のチケット。
写真13は隣国ハンガリー、ブダペストの地下鉄乗車券でこれは軟券である。
写真14はハンガリーの国営旅行会社―「IBUSZ」(当時)発行のハンガリー国鉄「ブダペスト→ブラチスラヴァ」2等乗車券と急行列車「バルト・オリエント・エクスプレス」(写真15筆者撮影)の2等座席指定券である。(写真16チケット表面、写真17チケット裏面)車両番号並びに座席番号はチケット裏面に手書きで記入されているところも時代を感じさせた(1987年)。

写真1-韓国国鉄「ソウル→プサン」特急券・乗車券(1972年)

写真2-「特急券第1つばめ-大阪→東京」(1962年)

写真3-「フィレンツェ→ピサ」2等乗車券(イタリア国鉄)1973年

写真4-「ブリュッセル→アントワープ」2等乗車券(ベルギー国鉄)1973年

写真5-「チューリッヒ→クローテン」2等往復乗車券(1976年)

写真6-「ピラトゥス鉄道」ゴンドラ・ロープウェイ往復乗車券(1976年)

写真7-「ロンドン→ウィンザーセントラル」ディリターン往復チケット(ブリティッシュ・レイル)1979年

写真8-「ロンドン→ボーンマス、ウィークエンド往復チケット(1979年)

写真9-「シャモニー→エギュ・デュ・ミディ」往復ロープウェイ・チケット(1979年)

写真10-「ミラノ→ルガノ」1等往復乗車券(1980)

写真11-「ローザンヌ→バーゼル」2日間有効1等割引乗車券(スイス国鉄)

写真12-「ザルツブルク→ウィーン西駅」2等乗車券(オーストリア国鉄(1982年)

写真13-「ブダペスト地下鉄乗車券」(1987年)

写真14-「ブダペスト→ブラチスラヴァ」2等乗車券(1987年)

写真15-「バルト・オリエント・エクスプレス」ブダペスト西駅(筆者撮影)

写真16-「バルト・オリエント・エクスプレス」2等座席指定券表面(ハンガリー国鉄)1987年

写真17-「バルト・オリエント・エクスプレス」座席指定券裏面(1987年)