NHK交響楽団第500回定期公演の回想、1968
〜1968年3月6日、東京文化会館にて〜
1968年3月、「NHK交響楽団」は第500回の定期公演を迎えた。この節目の記念公演は3月5日・6日の両日に渡り東京文化会館で岩城宏之の指揮、ソリストにピアノの中村紘子の客演で開催された(写真1 NHK交響楽団第500回定期公演プログラム表紙)。 公演曲目はバルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」、前年度(1967年)の尾高賞受賞作品でもある矢代秋雄の「ピアノ協奏曲」、休憩をはさみストラヴィンスキーの舞踊音楽「ペトルーシカ」が演奏された(写真2 第500回定期演奏曲目/写真3 第500回定期出演者、岩城宏之・中村紘子と作曲者、矢代秋雄)。 当時、近・現代音楽の紹介にも力を入れていた岩城宏之らしいプログラム構成だったと思うが筆者は特に矢代秋雄(1929-1976)の「ピアノ協奏曲」に注目した。 この作品は1964年から1967年にかけじっくりと作曲されたNHK委嘱作品である。 放送録音としての初演、並びに公開初演も作曲者と親交も深かった中村紘子のピアノ、NHK交響楽団の演奏で行われている。 因みに放送用録音は若杉 弘、公開初演は森 正の指揮で行われた(1967年)。 筆者が生演奏でこの協奏曲に接したのはもちろんこの公演が初めてだった。 神秘的な楽想、高度なピアノ・テクニックが要求されるこの作品をサラッと弾きこなす当時の中村紘子の名人芸を回想した。 写真4は1988年に初CD化された初演者、中村紘子による矢代秋雄「ピアノ協奏曲」、若杉 弘&都響(1977年)と外山雄三&N響(1982年)の2つのライヴが入った盤のCDジャケットである。