ハンス・フォンク&ロイヤル・フィルを聴く(1)

ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団 1978/79シーズン(1)

ハンス・フォンク&ロイヤル・フィルを聴く(1) - 1979年3月、ロンドンにて -

1979年3月6日(火)は「ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団」-1978/79シーズン3月定期公演に足を運ぶ。(写真1 プログラム表紙)会場は昨日のプタペスト交響楽団と同様「ロイヤル・フェスティバルホール」、演奏会は午後8時開始である。指揮はオランダの名匠とも云われたハンス・フォンク(Hans Vonk/1942-2004)、ソリストはウクライナのオデッサ出身でピアノの巨匠シューラ・チェルカスキー(Shura Cherkassky/1909~1995)であった(写真2)。プログラムはモーツアルト/交響曲第38番ニ長調「プラハ」K.504、チェルカスキーを迎えてリスト/ピアノ協奏曲第1番変ホ長調、休憩をはさみストラヴィンスキー:舞踊音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)という構成である(写真3)。指揮者ハンス・フォンクは日本での知名度はいまいちだがかのヘルマン・シェルヘンに師事、オランダの「ハーグ・レジデンティ管弦楽団」や「ケルン放送交響楽団」等々の首席指揮者を歴任。1996年にはレナード・スラットキンの後任として「セントルイス交響楽団」の首席指者にも就任している。しかし晩年に難病を発症し車椅子で振るなど頑張り続けたが2004年に惜しまれながらこの世を去った。私が最後に彼の指揮で聴いた演奏は「ウィーン交響楽団」との1987年のジルヴェスター・コンサート(大晦日コンサート)、「ベートーヴェン/交響曲第9番」/ウィーンコンツェルトハウスだった。これについてはまた後日紹介してみたいと思う。
さてこの日の演奏会の私の感想に戻るが当時70歳のチェルカスキーの華麗なリストもさることながら休憩後に演奏された「ペトルーシカ」が強く印象に残った。一般的によく演奏される1947版は3管編成に縮小されているもののストラヴィンスキーの色彩感あふれるオーケストレーションがむしろ一段と冴えわたる。フォンクの指揮ぶりが今も目に浮かぶ。

写真1 コンサートのプログラム表紙

写真2 指揮者ハンス・フォンクとピアノの巨匠シューラ・チェルカスキー

写真3 当日の演奏曲目