ブダペスト交響楽団を聴く

ブダペスト交響楽団(ロイヤル・フェスティバルホール)、1979

ブダペスト交響楽団を聴く- 1979年3月、ロンドンにて-

1979年3月5日、私はロンドンに約1ヶ月滞在する機会を得た。今回からこの時期に出会った演奏会を思い起しながら紹介していきたいと思う。第1回目はハンガリーの「ブダペスト交響楽団」のロンドン公演である。(写真1 プログラム表紙)この公演は3月5日(月)の午後8時から「ロイヤル・フェスティバルホール」で開催された(写真2)。指揮は当時の音楽監督ジェルジ・レヘル(György Lehel)(写真3)、ソリストには当時新進気鋭のハンガリー若手ピアニスト、アンドラーシュ・シフが客演した(写真4)。演奏曲目はウェーバー:歌劇「オベロン」序曲、シフを迎えモーツアルト:ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491、休憩をはさみベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調「英雄」である(写真5)。レヘルの棒は地味ながら特にベートーヴェンではその飾り気のない素朴でオーソドックスな演奏にむしろ好感がもてた。ソリストのシフは当時25歳、この時初めて彼の生演奏に接し繊細なピアノタッチを強く感じたことを覚えている。彼も現在は60代の半ばにさしかかり指揮活動にも力を入れている。彼の弾き振りも見てみたい。
ところでこのオーケストラの名称についてだが自国ハンガリーでは「ハンガリー放送交響楽団」と呼ばれている。それは元来、ハンガリー放送局のオーケストラとして創設された由来がある。しかしレコーディングや国外公演の際は「ブダペスト交響楽団」の名称を使用することが多いようだ。事実、このロンドンでのプログラムにも「ブダペスト交響楽団(Budapest Symphony Orchestra)」で掲載されている。因みにこの楽団の現在の音楽監督は日本でも馴染みのあるヤーノシュ・コヴァーチュが務めている。

写真1 ハンガリー「ブダペスト交響楽団」ロンドン公演プログラムの表紙

写真2 ロイヤル・フェスティバルホールでの公演を示すプログラム内表記

写真3 指揮をした音楽監督ジェルジ・レヘル

写真4 現在は巨匠、当時25歳のアンドラーシュ・シフ(Pf)、伴侶はVnの塩川悠子

写真5 当日の演奏曲目