hashitakeのひとりごと(関西のホールとオーケストラ ②)
〜 京都市交響楽団と京都コンサートホール 〜
京都市コンサートホールは、京都の北山にあります。
北山は京都市の北部、西にいくと金閣寺、少し北に行くと上賀茂神社があります。 交通の便はよく、JR京都駅からも、京都の中心部(四条烏丸)からも地下鉄で一本です。 ホールへは地下鉄の駅からは濡れずに徒歩3~4分で着きます。
ホールは座席数1,833席。 容積は初台のオペラシティより少し大きい気がします。 長方形でオルガン付です。 残念ながら内部の写真はとれませんでしたので、HPでご覧いただければと思います。 私は関西ではこのホールが一番好きです。
https://www.kyotoconcerthall.org/institution/
響きは豊かで、あまりムラがないように思います。 今迄10回程度行きましたが、どの座席でもよい響きです。
私はステージに近いサイド席が臨場感もあって好きです。 1階席前方は若干音が上に抜ける感じがするように思いました。
なによりも、京都北山の落ち着いた風景、ホール来場者に和服の女性も時折見かける雰囲気、ゆったりとしたエントランスとロビー、地下鉄に直結した交通の便、は環境としても申し分ありません。
また隣には「京都市立植物園」があり、大きい園内に四季折々の花が咲いていますので、時間が余ったら散歩もできます。
京都市はこのコンサートホールと市立の交響楽団を持っています。 おそらく全国で唯一でしょう(私の故郷 群馬県の群馬交響楽団も県・市で支援し、コンサートホールも最近新設しましたが、公営ではない)。
2023~24のシーズンは、このホールの以下のコンサートに行きました。
・ルイージ 指揮 コンセルトへボウ管弦楽団(11/5):(メイン)チャイフスキー「交響曲第5番」
・沖澤のどか 指揮 京都市交響楽団(9/23):ベートーヴェン「交響曲第4番」/コネソン「コスミック・トリロジー」
・沖澤のどか 指揮 京都市交響楽団(‘24/1/20):オネゲル「交響曲第5番」/イベール「寄港地」/ラベル「ボレロ」
コンセルトへボウは勿論非常に感銘を受けましたが、ここでは京都市交響楽団の印象を記したいと思います。
京都市交響楽団は1956年創立で歴史は古く、様々な指揮者が常任・音楽監督を務めてきたようです(私のクラシックを聴くきっかけとなった山田一雄氏も常任指揮者でした)。 ここ10数年は広上淳一氏が常任指揮者を務め、飛躍的に充実し、評価もかなり上がったようです。 2022年で広上氏は退任し、同オケはなんと、若手の沖澤のどか氏を常任指揮者に選びました。 ベルリンで修行し、サイトウキネンでオペラを指揮したようですが、少し驚きました。
就任披露コンサートである‘23/9/23の演奏会に行きました。 プログラムは上記の通りで、コネソンは日本初演。大胆な選曲でした。
ベートーヴェンは古楽風ではないが、ティンパニなどをはっきりと強調する、メリハリのはっきりしたよい演奏でした。
コネソンは、正直「現代曲かあ。。」という感じで聞き始めたのですが、いい意味でJ.ウィリアムスの映画音楽をより現代曲風にした感じで、コスミックというだけあり神秘的でかつわかりやすく、非常に聴きごたえがありました。 京都市交響楽団はこの難曲を、目立つ(少なくとも駄耳にわかる)ミスはなく、音量も繊細な場面から極限までと思えるほど大きな音量まで、実に見事に演奏しておりました。 大変優秀なオーケストラであると実感しました。
‘24/1/20は常任就任後2回目の演奏会で、フレンチプログラム。 オネゲルは暗い沈鬱な曲でしたが、イベールは色彩が非常に多彩な演奏、ラべルは音量のコントロールが見事でクライマックスの作り方が非常に巧みであると感じました。 ここでも私の駄耳での感想ですが、オケは音色・厚み・テクニックとも非常に見事でした。
両方の演奏会とも、沖澤のどか氏は、その指揮ぶりもさることながら、ステージマナーや所作、楽員とのコミュニケーションがとても素晴らしく、非常に好感を持ちました。 オケの団員も一緒に音楽ができて本当に楽しい、という雰囲気がビンビン伝わってきました。 観客も応援しよう、という雰囲気に満ちています。
まだ若干35歳の女性、青森出身、最近出産したばかりとのことです。 小柄ですがエネルギーにあふれています。 新しい世代がまさに出てきたなあ、という感動と期待を感じます。 今後も彼女の演奏会は見逃せない、と思っております。
関西方面にお越しになり、京都市交響楽団の演奏会があれば、ぜひお聴きになってはいかがでしょうか。 在京オケに勝るとも劣らない演奏と、よい響きと雰囲気をもったホールを味わえるのではないか、と思います。