フルニエ&ケンプ来日デュオ・リサイタル、1954
私の「コンサート資料コレクション」からフルニエ&ケンプ来日デュオ・リサイタル、1954年11月
フランスの「チェロの貴公子」とも呼ばれたピエール・フルニエ(Pierre Fournier/1906-1986)が初来日したのは1954年11月のことだった(写真1 来日公演プログラムから)。当時来日中だったドイツの名ピアニスト、ウィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff/1895-1991)(写真2 ウィルヘルム・ケンプ、公演プログラムから)とのデュオ・リサイタルは当時大変な反響を呼んだようだ。この公演は11月9日午後6時半から「日比谷公会堂」で開催された(写真3 デュオ・リサイタル公演プログラム表紙)。コンサートはオール・ベートーヴェン プログラムでチェロ・ソナタ第1番・第3番・第5番のほかモーツアルトの歌劇「魔笛」第1幕パミーナとパパゲーノの二重唱「恋を知るほどの殿方には」を主題にした7つの変奏曲が演奏されている(写真4 デュオ・リサイタル演奏曲目)。フルニエのチェロで気品のある格調高いベートーヴェンが聴けたことであろう。
ケンプはこのコンサートの前月にはN響第360回定期公演(10/12・13)に客演、ニクラウス・エッシュバッハーの指揮でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」とシューマン「ピアノ協奏曲」を弾いている。またフルニエは続く11月16日・17日第361回定期公演でハイドン「チェロ協奏曲ニ長調」とサン=サンース「チェロ協奏曲第1番」、11/20N響特別演奏会でボッケリーニ「チェロ協奏曲変ロ長調」とドヴォルザーク「チェロ協奏曲」を同エッシュバッハーの指揮で演奏している(写真 1954.11.20特別演奏会・日比谷公会堂、「N響50年史」から)。写真6は1954年のフルニエ告別公演・N響特別公演チラシである。