ヴェルディ「椿姫」全曲(演奏会形式)を聴く、1996年9月10日
〜 新日本フィル第242回定期公演、東京文化会館にて 〜
ティツィアーナ・ファブリチーニ(Tiziana Fabbricini)はリッカルド・ムーティにより1990年、椿姫のヴィオレッタ役に抜擢され脚光を浴びその後世界の歌劇場からお呼びがかかり当時「ヴィオレッタ役」と云えば彼女の代名詞になるくらい注目されたプリマドンナである。 また1995年6月ミラノ「スカラ座」日本公演の際にもヴィオレッタ役を歌い好評を博した。 彼女は翌年、この新日本フィル1996年秋季シリーズ開幕第242回定期で演奏会形式による椿姫に再びヴィオレッタ役で登場し筆者も会場の東京文化会館に足を運んだ(写真1 新日本フィル第242回プログラム表紙)。 ヴィオレッタの相手役アルフレードに欧米の歌劇場で活躍中のテノールのマーティン・トンプソン(Martin Thompson)、アルフレードの父(ジョルジョ・ジェルモン)に1987年の「グラインドボーン音楽祭」(ベルナルト・ハイティンク指揮)で同役を演じたバリトンのブレント・エリス(Brent Ellis)が客演した。 今回の定期で指揮を担当したのは中米コスタリカ出身の名指揮者ジョン・ネルソン(John Nelson)である(写真2 「椿姫」出演者/ 写真3・4 出演者プロフィール)。 演奏会形式による今回の公演は指揮者の意向により「第2幕」フィナーレに入る前に休憩をとる変則的な上演だったが特に違和感は感じなかった。 また脇を固めた日本人出演者や合唱(東京オペラシンガーズ)も大変素晴らしかった。 プログラムによれば「新日本フィル定期公演」でイタリア・オペラ全曲を取り上げるのは今回の公演が初めてとのことだった。