ボーンマス響・香港フィルを聴く
香港アート・フェスティバル 、1978
ボーンマス響・香港フィルを聴く - 1978年1月、香港にて -
前回の続編である。翌1978年のフェスティバルは1月23日から2月19日まで開催された。(写真1 公式プログラム表紙)私はフェスティバル開幕間もない1月25日から香港を訪れまだ来日していなかったイギリス南西部の海沿いの街ボーンマスからやって来た「ボーンマス交響楽団」と地元「香港フィルハーモニー管弦楽団」の演奏を聴いた。前者の「ボーンマス響」の指揮は当時首席指揮者を務めていたシベリウスの権威として知られたパーヴォ・ベルグルンドと日本からこれまたシベリウスの大家と云われた渡邉暁雄があたった。また後者の「香港フィル」には当時この楽団の音楽監督、ハンス・ギュンター・モマーがあたった(写真2 フェスティバル・スケジュール表) 。私が特に興味深かかったことは現在も現役で活躍中のポーランド出身、イギリスの世界的女流バイオリニスト、イダ・ヘンデルがベルグルンドと共演シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏することだった。すでにこのコンビでこのボーンマス響と「英EIM」に録音済みで私も彼女のサインを貰うために東京からそのLPを持参した。(写真3 LP、写真4 プログラム)演奏は期待どおり「素晴らしい」の一言。休憩後に演奏されたプロコフィエフ交響曲第5番にも胸が躍った。ベルグルンドは左手に指揮棒を持つサウスポー指揮者としても有名だった(写真5、6)。翌26日は渡邉暁雄の客演指揮。シューベルト「交響曲第3番」に続きソリストに嘗てデニス・ブレインの後を引き継ぎ「フィルハーモニア管弦楽団」のホルン首席奏者を務めたアラン・シヴィルを迎えてのモーツアルト「ホルン協奏曲第4番」と贅沢な組み合わせに心酔する。プログラム締めくくりのバルトークも「管」が唸っていた(写真7、8)。
第3日目27日は地元「香港フィル」のコンサート(写真9)。プロのオーケストラとして再スタートを切ったのは1974年とのことだから当時はまだプロ4年目ということになる。指揮のハンス・ギュンター・モマーは1977年より音楽監督を務めていたが「ワン・シーズン」で退任してしまった。プログラムはモーツアルト「歌劇 魔笛」序曲から始まり、ソリストにアメリカのアグスティン・アニエヴァスを迎えてのチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」そしてヴェートーヴェン「交響曲第5番」とポピュラーな構成であった。アニエヴァスは1958年の「第1回ミトロプーロス国際コンクールーピアノ部門優勝」に輝いた経歴を持つ。
余談になるがこのコンサートでは私のすぐ後ろの席に前日の指揮された渡邉暁雄氏が座っておられた。コンサート終了後、挨拶をかわしわずかな時間だが氏と雑談したところ「香港フィルは結構レベルが高いオーケストラですね。」と云われたことが今も印象に残っている。
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写真1 香港芸術祭1978 公式プログラム表紙
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写真2-1 フェスティバル・スケジュール表
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写真2-2 ハンス・ギュンター・モマーに終演後楽屋でもらったサイン
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写真3 持参したLPに入れてもらったイダ・ヘンデルのサイン
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写真4 プログラムに入れてもらったイダ・ヘンデルのサイン
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写真5 1/25 ボーンマス響を指揮したパーヴォ・ベルグルンド
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写真6 1/25 のボーンマス響のチケット
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写真7-1 1/26にボーンマス響を客演指揮した渡邉暁雄
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写真7-2 渡邊氏が香港フィルを聴きに来られていたので終演後にサインをしてもらった
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写真8 1/26 の渡邉暁雄指揮 ボーンマス響のチケット
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写真9 1/27 ハンス・ギュンター・モマー指揮 香港フィルのチケット
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写真-10:パーヴォ・ベルグルンドが1971年11月、日本フィルに客演した際に入れてもらったサイン