アンドレ・プレヴィンの "ラフマニノフ 交響曲第2番" の魅力
筆者が初めてこのメランコリックで美しいラフマニニフ「交響曲第2番」に接したのはアンドレ・プレヴィンが1965年頃にロンドン交響楽団と「RCA」に録音した写真のレコードだった(写真1 プレヴィン&ロンドン響「ラフマニノフ交響曲第2番」(国内盤RCA初出LP・SHP2449)。筆者は第3楽章「アダージョ」のメランコリックな旋律に惹かれこの作品を益々好きになっていく。ただこの録音は従来慣例的に行われていた大胆なカットによる演奏だった。そして1971年4月、プレヴィンはロンドン交響楽団と共に「第14回大阪国際フェスティバル」参加のため来日、その後東京でもこの「第2番」を演奏、この時彼は慣例的なカットも復元し完全版での演奏で聴衆を魅了した(写真2 プレヴィン&ロンドン響1971年来日東京公演プログラム表紙/写真3 1971年東京公演Aプロ演奏曲目4月30日日比谷公会堂)。その2年後1973年1月には彼は先駆者としてロンドン響とこの「第2番」を「完全全曲版」でレコーディング、ラフマニノフのスペシャリストとして人気もさらに高まっていく(写真4 1973年完全版録音EMI国内盤LPジャケット)。さらに1977年にはラフマニノフ全3曲の交響曲全集録音を完結している。
写真5は1980年前後にロンドンのレコード店で見つけたプレヴィン&ロンドン響のカセット・テープのラフマニノフの交響曲全集で「カッセト」ではめったに聴かない筆者が「7号リールオープン・テープソフト」と勘違いして思わず買ってしまった思い出の品である。しかしEMIカラー赤一色のカセット・テープに強いインパクトを感じている(写真6 EMIカラー赤一色のカセット・テープ)。
各ジャケットのプレヴィン氏のサインは1991年9月「ロイヤル・フィル」との来日公演時に入れてもらったものである(写真7 1991年9月プレヴィン&ロイヤル・フィル来日公演プログラム表紙/写真8 9月28日サントリーホール演奏曲目)。この公演のメイン・プログラムにも彼は「第2番」を取り上げ深みのある演奏が今も心に残る。因みにこの「ロイヤル・フィル」とは1985年3月に「TELARC」にデジタル録音による3度目の録音をしている(写真9 「TELARC」録音「第2番」CDジャケット)。このデジタル録音では幾分テンポも遅くなり演奏時間も1時間を超えている。しかし筆者としてはやはりラフマニノフの美しい旋律をたっぷりと見事に歌い上げている1973年EMI録音は捨てがたく一番の魅力を感じている。写真10はプレヴィン氏が1995年10月のN響定期に客演した際、NHKホール楽屋口 ロビーでのツーショットスナップ写真である。