リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団初来日公演を聴く、1990

~1990年12月5日・東京文化会館にて~

そもそもベルギーのオーケストラの来日公演はこの1990年の「リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団」が最初だった。リエージュは首都ブリュッセルから東へ約100km弱に位置する風光明媚な古都である。ドイツのアーヘンにほど近い。筆者がこのオーケストラを知ったのはフランクの交響詩「プシュケ」のレコードだった(写真1 フランク「プシュケ」LPレコード)。時の音楽監督ポール・シュトラウスが1974年本拠地リエージュのコンセルヴァトワールで録音した名盤である(写真2 本拠地Conservatoire deLiège)。
初来日公演の同行指揮者は1977年より音楽監督を務めるピエール・バルトロメイ(Pierre Barthoromée)であった(写真3 Pierre Barthoromée,公演プログラムから)。彼は作曲家でもありシューベルトの謎多き「交響曲ニ長調D.936A(グムンデン=ガスタイン交響曲??)」の遺された3つの楽章スケッチを基に4楽章構成にアレンジ・創作、「交響曲第10番ニ長調」としてレコーディングしたCDが記憶に残る。(写真4 1983年録音-バルトロメイ&リエージュ・フィル・シューベルト「交響曲第10番」CDジャケット)。
さて筆者が聴いたプログラムは公演最終日12月5日(東京文化会館)のモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」とマーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」である(写真5 プログラムC)。ピアノはシカゴ出身の人気ピアニスト、ジェフリー・シーゲルが客演した(写真6 Jeffrey Siegel)。筆者も都響特別公演で(1978年12月)急病で来日できなくなったマリア・ジョアオ・ピレシュの代役を務めたことで彼の実力は充分承知していた。またメインのマーラーの「第5番」では期待以上にオーケストラが華麗で重厚なサウンドで鳴り響いたことがとても印象的だった。
最後にこのオーケストラの名称についての余談だが先のLPレコードでは「リエージュ管弦楽団(L'Orchestre de Liège)」当公演プログラムではフランス語表記で「L'Orchestre Philharmonique de Liège et de la Communauté Française」(フランス語圏共同体リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団)(写真7 1990年来日公演プログラム表紙)と記載されている。ちょっと気になり調べてみたところ時代と共に名称変更があったようで2010年にはベルギー王室から「王立」を冠することが認められ現在では「リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団(L'Orchestre Philharmonique Royal de Liège)がどうやら正式名称のようである。

写真1 ポール・シュトラウス&リージュ管フランク「プシュケ」1974年録音LP

写真2 本拠地コンセルヴァトワール リエージュ

写真3 ピエール・バルトロメイ(公演プログラムから)

写真4 バルトロメイ&リエージュ フィル「シューベルト交響曲第10番」CDジャケット

写真5 筆者が聴いた公演プログラムC

写真6 客演ピアニスト ジェフリー・シーゲル

写真7 1990年リーエジュ・フィル初来日公演プログラム表紙