コンサート指揮者としてのレオポルト・ルートヴィヒ

1960年代から’70年代にかけてハンブルク国立歌劇場の黄金時代を築きあげたレオポルト・ルートヴィヒ(Leopold Ludwig /1908~1979、写真1)は当時の名盤、リリック・ソプラノ、アンネリーゼ・ローテンベルガー(Anneliese Rothenberger)を起用したベルク「ルル」(1968年独エレクトローラ録音)などで名声を得たオペラ指揮者だった。 しかし日本での知名度は活動が地味なこともあり「知る人ぞ知る」存在だった。 今回は彼のコンサート指揮者としての観点から3つのヴィンテージ録音から取り上げてみたい。 先ず筆者が初めて彼が指揮するレコードに針を下したのは1957年のステレオ録音、エミール・ギレリスのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」だった (写真2 LPジャケット国内盤、日本コロムビア OS-3006) 。 この録音は現在もギレリスの名盤としても定評ある「皇帝」のひとつに数えられている。 ちなみにギレリスは録音されたこの年(1957年)秋に初来日し上田 仁(まさし)指揮の東京交響楽団とのコンサートでもこの「皇帝」を披露している。 次に1959年のステレオ録音、ハンブルク国立フィルとのこのチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」(独オイロディスク音源)は1970年初頭には日本コロムビアの廉価盤「ダイヤモンド・シリーズ」としてリリースされていた。 写真のCDはそれから40年近くの歳月を経てデンオンから24bitマスタリングで2009年に世界初CD化されたものである (写真3 CDジャケット、DENON COCQ-84625) 。 CD化により音質も一段と鮮明になりルートヴッヒの重厚で渋いヴィンテージ・サウンドがよみがえる。 最後は「漫遊記718」でも取り上げた超ステレオ-35mm3トラック・マグネチック・フィルム録音、米EVEREST音源からロンドン交響楽団とのリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」である。 先の「悲愴」とほぼ同年代の録音だが音質・演奏共に「素晴らしい」を超えている。 ヴァイオリン・ソロは当時ロンドン響のコンサート・マスター、ヒュー・マグワイヤ(Hugh Magiire)が務めている (写真4 CDジャケット、米OMEGA EVC 9033 1995年リリース)。

写真1    レオポルト・ルートヴィヒ(CDブックレット掲載写真から)

写真2    エミール・ギレリス(Pf)/レオポルト・ルートヴィヒ&フィルハーモニア管/ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」国内初出盤LPジャケット(日本コロムビアOS-300

写真3    レオポルト・ルートヴィヒ&ハンブルク国立フィル /チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」ほかCDジャケット(国内盤DENON COCQ-84625 2009年リリース)

写真4    レオポルト・ルートヴィヒ&ロンドン響/R. シュトラウス交響詩「英雄の生涯」CDジャケット米OMEGA-EVC 9033(米EVEREST音源)