フランスの名匠ルイ・フレモーの想い出
フランスの名匠ルイ・フレモーの想い出
私が最初にルイ・フレモー(Louis Frémaux/1921-2017)のLPレコードを求めたのは「モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団」と「ドイツ・グラモフォン」に1960年代初頭に録音した写真のデュカとサティの作品集だったと思う(写真1 LPジャケット/LPM18649)。因みにこの録音はオリジナル・ステレオでされており演奏も素晴らしいのだ私が購入したのはモノラル盤だったのが悔やまれる。彼は「日本フィル」に客演のため1967年に初来日、この時は会場には足を運ばなかったが3度目の来日にあたる1972年の「東京都交響楽団」に客演の際はニ公演とも聴き逃さなかった。フレモーはこの時11月24日の「第47回定期公演」と12月12日のヴァイオリンの海野義雄をソリストに迎えての特別演奏会を振った(写真2 「第47回定期公演プログラム表紙」/写真3 「特別演奏会プログラム表紙」)。演奏プログラムは定期がブラームス「大学祝典序曲」/モーツアルト「交響曲第36番"リンツ"」/ベルリオーズ劇的交響曲「ロメオとジュリット」から「愛の情景」/ルーセル「バッカスとアリアーヌ」第2組曲、特別演奏会はベルリオーズ「ローマの謝肉祭」序曲/ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(Vn.海野義雄)/ムソルグスキー(ラヴェル編曲)組曲「展覧会の絵」といういかにもフレモーらしい構成であった(写真4 定期公演演奏曲目/写真5 特別演奏会演奏曲目)。同時に彼は「都響」とこの「展覧会の絵」とラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を「八王子市民会館」でレコーディングも行った(日本コロムビア)。彼の指揮は派手さはないが作品の聴かせどころを巧みにドライビングしていくところに私は魅力を感じていた。このような個性的で味のある指揮者が最近少なくなってきていることも寂しく思う。最後にもう2枚ほど彼の「モンテカルロ時代」の私の愛聴盤を紹介させていただきこの稿を終りにしたい。先ず1枚目が1965年7月サンソン・フランソワと一挙にレコーディングしたショパンのピアノ協奏曲第1番と第2番である(写真6 独EMI/037 29 0638 1)。フランソワの個性的なピアノタッチにフレモーがオーケストラを巧みにドライブしている。2枚目がエラート録音のムソルグスキー(ラヴェル編曲)組曲「展覧会の絵」(写真7 国内盤エラート・ERA-1046/1970年代録音)。こちらは都響の「特別公演」と同様にフレモーの旨味がたっぷりと聴ける。
写真8/9は「定期公演」と「特別公演」のチケットも見つかったので追加で掲載しておきたい。写真8の定期公演のチケットは印刷が最初から極端にずれており当時としても珍しい 。写真10は当時プログラムとは別に発行された期刊「都響」表紙。写真11は期刊「都響」に入れてもらったフレモーのサイン。