リン・トゥン&フィルハーモニア管弦楽団を聴く

ロイヤル・フェスティバルホール、1979

リン・トゥン&フィルハーモニア管弦楽団を聴く- 1979年3月、ロンドンにて–

1979年3月11日はカラヤンともゆかりが深かった「フィルハーモニア管弦楽団」のコンサートに足を運ぶ。(写真1 プログラム表紙)承知の通りこのオーケストラは嘗てのEMI名プロデューサー、ウォルター・レッグにより戦後間もない時期に創設された。従ってレコード録音の数も多く私も学生時代にはカラヤン時代のLPをかなり買い求めた。しかし楽団の財政的危機から1964年にレッグが去ると自主運営を余儀なくされ名称も「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」と変わり再スタート。初来日もこの時代、「EXPO'70クラシックス」に参加の時だった(写真2 1970年8月東京公演プログラム表紙)。この時、当初は指揮者に名匠サー・ジョン・バルビローリが初来日するということで大変期待されていたが来日直前に急逝、指揮はジョン・プリッチャードとエドワード・ダウンズが代行した。その後、首席指揮者にイタリアのリッカルド・ム-ティが就任、1977年には元の名称「フィルハーモニア管弦楽団」に戻した。ムーティはこの1979年には音楽監督に就任している。
さて私が聴いたこの公演の指揮者は中国・上海生まれのリン・トゥン(Ling Tung)、ソリストには当時49歳のイギリスの名ピアニスト、ピーター・ケイティン(Peter Katin)が客演した(写真3 出演者紹介)。私が指揮者、リン・トゥンを初めて知ったのは彼がこのコンビで前年に録音した「ラフマニノフ/交響曲第2番」のLPだった。(写真4 英Enigma K53568)おそらくこのレコードが彼の代表盤のひとつであろう。レコードでは彼の端正で素朴な演奏スタイルに魅力を感じた。ピアノのケイティンは「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番」を演奏したがさすがに40年近くも前のことなので詳細な記憶は飛んでしまっている。当日のメイン・プロ、ベルリオーズ「幻想交響曲」ではオーケストラの金管・打楽器群の強烈な響きを思い起す(写真5 当日の演奏曲目)。手元の「フイルハーモニア管弦楽団イヤー・ブック(1978/79シーズン)」(写真6)をめくってみると登場する指揮者は当然のことながら音楽監督のムーティが一番多く客演ではサイモン・ラトル、ロリン・マゼール、キリル・コンドラシン等々そうそうたる指揮者が目立つ。

写真1 フィルハーモニア管弦楽団」コンサート・プログラム表紙

写真2 1970年8月東京公演プログラム表紙

写真3 指揮のリン・トゥン(左)とソリストのピーター・ケイティン(Pf)(右)

写真4 トゥン&フィルハーモニア「ラフマニノフ/交響曲第2番」のLPジャケット

写真5 コンサート当日の演奏曲目

写真6 フイルハーモニア管弦楽団イヤー・ブック(1978/79シーズン)表紙