1954年の「カラヤン&N響新音源発見」
1954年の「カラヤン&N響新音源発見」
このたび「ヘルベルト・フォン・カラヤン&NHK交響楽団」の1954年4月7日・8日、日比谷公会堂に於ける公演、園田高広とのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」のNHK音源が新たに発掘されたとのニュースを聴き驚いている(写真1 当公演のプログラム表紙/写真2 プログラム演奏曲目/写真3 カラヤン・スナップ写真、プログラムから)。これまで「カラヤン単身初来日時N響ライヴ音源」は没後10年に当たる1999年「日本ポリグラム」より初CD化された「チャイコフスキー交響曲第6番"悲愴"(日比谷公会堂・4月21日公演)のみとされてきた(写真4 「悲愴」CDジャケット)。因みに当時の公演記録を見ると4月7日から5月9日まで定期公演と定期以外の公演、並びに地方公演(名古屋・京都・宝塚)を含め延べ14回を数えた(写真5 ジャケット解説-公演・放送記録)。カラヤンは当時46歳で約40日間に渡り日本に滞在、因みにこれは通算11回の来日の中でも一番の長期滞在となった。まだ幼年期だった私はこれらのコンサートに行けなかったことは"言わずもがな"である。しかしこれらのコンサート・ライヴ音源が後世にほとんど残されてなかったことは惜しまれる。ここで当時撮影された若きカラヤンの貴重な写真を2点取り上げてみたい。先ず1955年9月「朝日新聞社」発行の写真集「国際写真サロン1955(I.P.S.J./International Photographic Salon of Japan)」(写真6)の中の1枚、旧NHKスタジオで演奏本番前を捉えたカラヤン(船山 克氏撮影)(写真7)、もう1枚は筆者の知人A氏撮影のスナップ写真(写真8)である。A氏は当時カラヤン&N響とのベートーヴェン「第9公演」に合唱団の一員として参加された。名古屋公演の際、リハーサルが終わり休憩時に外出したカラヤンを偶然撮影したとのことである。写真背景の木造建築は校舎だろうか。咄嗟の撮影でピンボケはやむを得ないがどちらの写真もカラヤンの鋭い視線から彼の"カリスマ性”が伝わってくる。さてこのたび初CD化される園田高広との「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番」には今回リマスタリングされ大幅に音質が改善された先の「悲愴」も加わる。さらに今後いつの日かひょっとしたらまだこのほかにも当時の秘蔵音源が出てくるかも知れないことも期待して・・・
写真6 「国際写真サロン1955」表紙(朝日新聞社)