E. スヴェトラーノフのカリンニコフ「管弦楽曲集」、1990
ロシアの巨匠エフゲニー・スヴェトラーノフ(Evgeny Svetlanov/1928~2002)は晩年にはNHK交響楽団にも客演、それまで日本ではほとんど知られてなかったこのカリンニコフ(Vasily Kalinnikov/1866~1901)の抒情性に富む音楽を広めたといっても過言ではないだろう。 今回の紹介盤は彼が長年に渡り音楽監督を務めたソヴィエト国立交響楽団(現、ロシア国立交響楽団)と1990年に「露メロディア」に録音した稀少盤カリンニコフの管弦楽曲集である。 ちなみにCDアルバムのタイトルは英語表記で「Anthology of Russian Symphony Music」となっている (写真1 CDジャケット、露メロディア SUCD 10-00169)。 収録作品はいずれも普段日本では実演を耳にすることがない管弦楽曲作品「序曲”ブィリーナ”」(1892)「組曲」(1892)「交響的絵画“杉と棕櫚(しゅろ)」”(1897-98)の3曲である(写真2 CD収録作品・演奏録音データ)。 ブィリーナ(Bylina)とはロシアに伝わる「口承叙事詩」を意味するらしい。 「組曲」は4つの楽章から構成され演奏時間もおよそ40分近くを要しまさに交響曲的作品である。 「杉と棕櫚」はハイネの詩からインスピレーションを得て書いた作品、スケール感と共にしみんりとした深い味わいを感じる (写真3 CDレーベル面)。