イッセルシュテット&読響の"第9”を聴く、1970
ハンス・シュミット=イッセルシュテット&読響の"第9”を聴く、1970年12月16日、日本武道館
「読売新聞社」並びに「ベートーヴェン生誕200年記念連続演奏会実行委員会」が主催する公演は第I期から第V期に分けて1970年1月30日から「楽聖誕生日」にあたる最終回の12月16日まで全43夜の日程で開催された(写真1 「ベートーヴェン生誕200年記念第V期プログラム表紙」。今回は想い出に残る最終回(第43夜)のハンス・シュミット=イッセルシュテット(写真2 プログラムから)が指揮した「読売日本交響楽団」の「第9公演」を紹介したいと思う。会場は「日本武道館」、楽聖誕生日にもあたる12月16日午後6時30分から開催された(写真3 「第9」公演プログラム・出演者)。筆者にとって「武道館」でのコンサートは前年6月の「ノイマン&チェコ・フィル」公演(「漫遊記72」参照)以来であった。生憎、当時のコンサート・チケットは紛失してしまったようだが席は2階のスタンド席で料金は確か800円だったと記憶している。シュミット=イッセルシュテット(1900-1973)は当時70歳、「ウィーン・フィル」と約4年の歳月を経てこの前年ステレオ録音による最初の「ベートーヴェン交響曲全集録音」(英デッカ)を完成させた指揮者でもあった。この「読響」とは初来日の1964年10月に客演、今回は2度目の顔合わせとなった。「武道館」の2階スタンド席から見た彼の指揮ぶりは派手さはないが堂々とした気品ある風格が今も思い起こされる。またこの「第V期」の最終シリーズでは9月に歌劇「フィデリオ」が若杉弘指揮で(東京文化会館)、12月8日・11日には「ミサ・ソレムニス」がシュミット=イッセルシュテットの指揮で演奏され好評を得た(東京厚生年金会館)。写真4はベートーヴェン生誕200年記念連続全公演日程である。