バーンスタイン&ウィーン・フィルを聴く

「ベートーヴェン音楽祭・ボン、1977」(2)

 レナード・バーンスタイン&ウィーン・フィルを聴く – 1977年9月、ボンにて-

「音楽祭」2日目(9/11)は注目の「レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」の演奏会である。私は少し早起きしホテルで朝食後、列車でボンへ出かけた。当時の「ドイツ国鉄(DB)」のチケットはまだ硬券が主流だった。(写真1、2 DBのチケット)ボン中央駅(Bonn Hbf)まで約40分の列車の旅である.列車はほぼライン河に沿って走る。午前10時過ぎにボンに着いた私はコンサートまでたっぷり時間があるのでゆっくりとボンの街を散策した。当時のボンは西側ドイツの首都でもあった。ベートーヴェンの生家(博物館になっている)に立ち寄りベートーヴェンの収蔵品を見学したり(写真3 ベートーヴェンハウス中庭のベートーヴェン像/筆者撮影)また街角広場ではピアノ・コンサートに出会い(写真4 筆者撮影)ボンの街を満喫した。少し早めの夕食を済ませた私は昨日と同じ会場、ライン河畔に位置する「ベートーヴェン・ハレ」に向かった。今夜はバーンスタイン&ウィーン・フィルのコンサート、昨日以上に興奮度が増す。プログラムはベートーヴェンの作品が2曲。前半が「弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調(弦楽合奏版)、後半が交響曲第5番ハ短調である。(写真5 プログラム)演奏が始まると私の緊張感と興奮度はさらに高まっていったがさすがに旅の疲れも出たのか7楽章から構成される「弦楽版第14番」の長大な第4楽章の途中で睡魔がおそい少々ウトウトしてしまったようだ。後に彼が同コンビでライヴ録音したLP(写真6)を求めこの録音データ(写真7)を見てビックリ。彼はこのコンサート直前まで(9/8~9/10)ウィーン・コンツェルトハウスでライヴ録音していた。実に当時のバーンスタインのタフさにも驚く。後半の「第5番」になると私の目・耳は逆に冴えわたる。フィナーレの前半部を反復し堂々としたクライマックスを築き上げていくバーンスタインの演奏スタイルに超満員の聴衆は酔いしれたと思う。コンサート終了後、ホール入口通路に机と椅子を出しウィスキーを片手に心よく大勢のファンにサインする姿は彼の人の良さがにじみ出たシーンであった。この日も私がホテルに戻った時刻は午前0時を回っていた。

最後に蛇足だがコンサート・チケットの料金に50DM(ドイツ・マルク)と半額の25DMの2つが記載されているが後者の半額料金は学生証等の身分証明を提示すれば適用される学生割引料金ようである。当時のレートで1ドイツ・マルクは約65円ぐらいだったと思うので一般の50マルクでも3250円である。当時、ヨーロッパではバーンスタイン&ウィーン・フィルがこの料金で聴けたのだ。羨ましい・・・(写真8)

写真1 当時のドイツ国鉄のチケット ボン行き

写真2  当時のドイツ国鉄のチケット ボンからの帰り

写真3 ベートーヴェンハウス中庭のベートーヴェン像

写真4 ボン街角広場でのピアノ・コンサート

写真5 バーンスタインにサインを入れてもらったプログラム

写真6 本コンサート直前にライブ録音したLP

写真7 本コンサート直前までライブ録音していたことを示す録音データ

写真8 本コンサートのチケット、学生は半額の25DMとか