メータ&イスラエル・フィル来日公演を聴く、1983
~1983年3月7日、東京文化会館~
~1983年3月8日、ゆうぽーと簡易保険ホール~
1983年3月、初来日(1960年12月)からほぼ23年の空白期間を置き「イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団」が音楽監督ズービン・メータと共に来日公演を行った(写真1 1983年来日公演プログラム表紙)。当時を振り返ってみるとこの来日公演にあたり万一に備えての会場警備等々の緊張感が一方では張り詰めていたことも思い出される(写真2 来日公演日程)。公演プログラムはA・B・Cの3つの演目が用意されどれもメータが得意とする曲目が並んでいた(写真3 来日公演曲目)。私は公演初日、3月7日:東京文化会館(Cプロ)、翌日8日:ゆうぽーと簡易保険ホール(五反田/Aプロ)に足を運んだ。公演初日の公演ではミュンヘン生まれのイスラエルの作曲家パウル・ベン=ハイム(1897-1984)の「賛歌」が演奏され興味深かった。この作品は昔からユダヤの礼拝で歌われる讃美歌を基に作曲されたそうである。ブラームスの「二重協奏曲」ではコンサート・マスターのウリ・ピアンカ、首席チェロ奏者のマイケル・ハランがそれぞれソロを務めた。休憩後の「春の祭典」はメータの十八番、オーケストラの巧さも充分に味わった。翌8日の公演ではバルトークの「中国の不思議な役人」が強烈に印象に残った。この作品は元来一幕のパントマイムのための舞台音楽でここではバルトークがその後演奏会用に改訂した管弦楽組曲版が演奏された。もちろんメインのベートーヴェンの「エロイカ」もイスラエル・フィルの重厚なサウンドが楽しめた。写真4は筆者が足を運んだ公演チケットである。