往年の名指揮者たちのリハーサルLPから
指揮者のリハーサル風景を収録したレコードについては「漫遊記322」でハンガリーの名指揮者「フェレンツ・フリッチャイ」を紹介済みだが今回は続編としていくつか興味深いリハーサル風景を収めたLPをまた取り上げてみたい。 今回取り上げるリハーサール盤は本体に付属する特典盤(非売品)が中心だがルドルフ・ケンペ盤(独オルフェオ盤)はケンペとのインタビューも収録した市販の2枚組LPである。 先ず筆者が最初にレコードで接したリハーサル盤はピエール・モントゥー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団による「ベートーヴェン交響曲第3番”エロイカ”」の付録に付いた17cmLPだった。 この録音はモントゥーが亡くなる2年前1962年に行われている。 リハーサルは「第2楽章 葬送行進曲」がおよそ15分弱に渡り収録されている。 モントゥーはフランス語で語りかけ特にリズムの取り方に力点を置きながら進めている(写真1 モントゥー&コンセルトヘボウ管「ベートーヴェン「エロイカ」第2楽章リハーサル-非売品17cm盤FLD17-1ステレオ録音・フィリップス)。
次も17cm盤でカール・ベーム指揮ベルリン・フィルによるシューベルト交響曲「ザ・グレート」の第1楽章のリハーサル風景でこれも非売品である。ベームらしく几帳面で指示もきめ細かい(写真2 ベーム&ベルリン・フィル- シューベルト「ザ・グレート」第1楽章リハーサル盤ステレオ録音KI 3001 1963年録音・非売品)。
写真3はヘルベルト・フォン・カラヤン&ベルリン・フィルによるベートーヴェン「第9」のリハーサル風景を第1面に第1・第3・第4楽章を編集収録、第2面には本番の「第4楽章」を全曲収めている。 この特典盤は「カラヤン&ベルリン・フィル1966年来日記念盤」対象レコードの特典券を5枚送付するともれなくもらえた1枚だった(グラモフォン30cmLP SMI-1012 ・1962年ステレオ録音)。
さらに、写真4も同じくカラヤン&ベルリン・フィルによるヴィヴァルディ「四季」から「春の第1・第2楽章「夏の第1楽章のリハーサル風景を収めた17cm盤である。 1973年に発売されたカラヤンの「四季」LP(MG 2382)の確か初回プレス盤の付録だったと思う(DI-2001 1972年ステレオ録音)。
写真5はカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団ほかよるバッハ「クリスマス・オラトリオ」(1965年録音)の特典盤でそのリハーサル風景を30cmLP両面に編集収録したものである。 リヒターの声が聴ける貴重なリハーサル盤である(グラモフォン・SMI 2010 ステレオ録音)。
そして今回最後に取り上げるのはルドルフ・ケンペの珍しいリハーサルとインタビューを収録した2枚組LPである。 管弦楽は「ドレスデン国立管弦楽団」。 リハーサル風景はベートーヴェン「エグモント」序曲と「交響曲第7番」、一方インタビューの模様はニューヨーク(1956年・英語)・ミュンヘン(1964年・1974年・独語)ロンドン(1975年・英語)の各都市で収録されたものである。 尚、「交響曲第7番」のリハーサルは「第1楽章」から「第3楽章」までで第4楽章が収録されてないのが残念である(写真6 独オルフェオ盤2LP S 079832 1 ステレオ録音)。