ブーレーズ、異色のベートーヴェン

今回の紹介盤はピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez/1925~2016)、異色のベートーヴェンである。 「交響曲第5番ハ短調」、俗に日本では「運命」の副題で親しまれている最もポピュラーな交響曲だが「第3楽章」のスケルツォとトリオをリピートするという初の大胆な解釈がLPリリース当時(1970年)大変話題となった。 しかも全体の演奏時間が39分弱とすこぶる遅い。 管弦楽はニュー・フィルハーモニア管弦楽団、1968年12月ロンドンのアビー・ロード・スタジオでのセッションである。 しかし「第4楽章」フィナーレ冒頭のベートーヴェン指示のリピートは実行していない。 さらにフィルアッされた作品がカンタータ「海の静けさと楽しい航海」とこちらもまた異色である。 この作品はゲーテの二つの詩「海の静けさ」・「楽しい航海」を題材にした混声四部合唱と管弦楽のための演奏時間約8分の小品だがコンサートで生で聴く機会が少ないので興味深かかった。 余談になるがメンデルゾーンも後に同様の題材をテーマに同名の序曲を作曲している。 紹介盤CDはLPオリジナル・ジャケット仕様で2000年に初CD化された (写真1 CDジャケット、国内盤SONY CLASSICAL SRCR-2510 /写真2 CD演奏データ)。

写真1    CDジャケット、国内盤SONY CLASSICAL-SRCR 2510)

写真2 CD演奏データ