追悼 ピアニスト イエルク・デムス
イエルク・デムス氏が2019年4月16日にウィーンでお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
ザンクトペルテンで1928年に生まれウィーンを中心に世界でも活躍し日本にも度々来日して昨年もその真摯な音楽を聞かせてくれたばかりでした。 御年90歳ですから天寿をまっとうしたとも言えますが、誠に残念でなりません。
ウィーンの三羽烏として、既に亡くなっているフリードリッヒ・グルダを取り上げた後スコダとデムスのどちらを取り上げようかと考えたとき、ホームページ担当のfumiさんからデムスをと要望されたこともありデムス、スコダの順番にしたのですが(スコダについては追って執筆)、まさか、取り上げた順番にグルダの次にデムスが亡くなるなんて、単なる偶然でしかありませんが、運命めいたものを感じてしまいました。
デムスが演奏するJ・S・バッハの鍵盤楽器の作品は大変に読み込みの深い演奏ですが、そこに至る鍛錬や曲解釈の為のアナリーゼや努力などの痕跡を残すことなく(そんな痕跡が分かるような演奏は2流のピアニストの演奏だとの厳しい意見は別にしまして)ただ、バッハの音楽がきっちりと理性的な佇まいを持って示されていました。 それでありながら、人間的な友愛の情をそこはかとなく漂わせるバッハがもう二度と聞けないのかと思うと悲しくなります。
天国では バッハやモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン達とお会いになり楽しくされていると思います。
長年にわたり素晴らしい演奏をありがとうございました。(kazu)
平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV 846-869:(https://ml.naxos.jp/work/6158009)
平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV 870-893:(https://ml.naxos.jp/work/6158011)