〜 ある昔話の寓話 〜
*これはフィクションです。特定の人物、あるいは団体を指すものではありません。

 幸か不幸か沼野岸彦氏は痴呆症を患いある時期から立体音響誌に登場しなくなり「円盤演奏家」なる言葉を発信する後継者もいなかったらしく尻すぼみになったようです。誠に商売の為とは言え次から次へと新たなコンセプトを打ち出し大衆をつなぎとめていかなくてはならないオーディオ評論家も大変な仕事だと同情したくもなります。
 そんな努力も彼ら達自身が際限なく連発した「似非」文学のせいで台無しになって今日に至っているのは既にお分かりの事とお喜び申し上げます。いわゆる、自業自得と言うやつです。 最近復活したアナログレコード再生の為のトーンアームが1本100万円などというおよそ現実から著しく離れた世界はもはや言うべき言葉もありません。 ロールスロイスがすごいのは、遥か下の大衆車が一般の庶民でも買えるから、その上に燦然と輝くロールスロイスが憧れとなるのです。 一般庶民が自動車を買えなければロールスロイスはまるで別世界の空飛ぶ円盤と同じであり誰も感心さえ持たないに決まっています。 一般の庶民を無視したオーディオ業界の高額商品はもはや狭い世界にしか通用しない代物です。 オーディオ業界が先細りするのは当たり前です。
 最も悲しいのは演奏家や芸術家、文学作家とは違い書き散らかした文章が淡雪のごとくに消えてゆき誰も顧みなくなるほどオーディオ評論家が残したものが薄っぺらい物だったと言う事です。 作家先生が残したものは本業の剣豪作品にしろ、某文学賞受賞作品にしろ、オーディオ評論文にしろ、今、読んでくれる人などいないでしょう。 オーディオ評論などやらずにもっと自分の作品を追い求めていれば良かったのにとご同情申し上げます。
そんなオーディオ評論をいまだに読む人が確かに少数おります。 過日の思い出、青春時代を懐かしく思う一部の年寄達でありますが彼らたちはまったく別で勘定には入っておりません。