「第1回」・イナズマ

クラシック音楽を趣味として、人生の縁(よすが)とするきっかけは1960年代、カール・ベームがベルリンドイツオペラと来日した時、NHKTVでベートーヴェンの「第九」が放映されているのを観てからである。正確にはその前日、高校1年生のクリスマスの日、音楽部だった友人が「第九」を流してくれた時、よく言う「イナズマ」が走ったのである。

なんという荘厳でなにか高らかに謳いあげていくこの高揚感はなんなのだ!今まで経験したこともない出来事だった。これがクラシック音楽というものなのか!世間で言うクラシック音楽の交響楽とかいう高尚なものなのか!何ゆえこの野蛮で未熟者の心を魅了するのだろう。さては、俺にはクラシックを理解できる素質が、、、、、。音楽の時間に習ったことのあるドイツの大作曲家ベートーヴェンの交響曲にこの俺が感激できるなんてどういうこっちゃ!

その日は頭の中に第九の何楽章かのフレーズが渦巻いていた。他人に見せられない宝物でも見つけたような気分に浸っていた。その翌日にTVを見て大きな確信をえた。指揮者、楽器群が全霊をかけ紡ぎだし発して心に迫ってくるこの爆発的なものは圧倒的だった。もう50年も前のことか!

30歳になってゲヴァントハウス・メンバーに名を連ね、多くの友垣を得、多くの音楽に接し、多くの名曲、名演奏に出会うことができたのは我生涯の悦びであり、メンバーでいられることは誇りとするところだ。

我ゲヴァントハウスのメンバー夫々は、音楽に対する造詣が深いだけではない、オーデイオにも尋常でないこだわりがあり、いかに名演奏を極上の音で再生するか(聞かせてあげるか)。果て度なく深く広く感性の泉を涸らすことなく探求心の情熱は益々熱い。土曜日のCDコンサート・システム・ディレクターmizuさんの更なる発展を、又埋もれた名演奏の掘り起こしに命を掛けている(としか思えない)nobuさん、将に本会発展の動力源、他にこんな鑑賞会があろうや、、、、、、決して楽屋裏からの自慢話ではない。